株式投資用語の「窓開け」と「窓埋め」は、チャート分析やテクニカル分析において用いられる概念。
窓開け
株価チャート上において、前日終値と当日始値の間に比較的大きな価格差が生じることを「窓開け」という。
連続した日々の取引においては、前日の終値を当時の始値に引き継ぐことなく、価格が跳ね上がったり(ギャップアップ)、大きく下がったり(ギャップダウン)して2日間のローソク足の間に価格の空白ができることがある。ろうそく足が上方向の窓は「上窓」、下方向の窓は「下窓」という。
窓開けは市場の急激な需給変化を示しており、そのまま窓開けした方向にトレンドが出るケースも少なくないが、多くのケースでは窓開けされた価格空間を埋めるように価格が推移する。つまり、上窓が出た場合は下げ、下窓となった場合は上げる。この動きに着目してエントリータイミングとする投資家は多い。
窓埋め
窓開けで生じた価格差が埋まること。つまり、上窓なら価格が下がり、下窓なら価格が上がって窓開け前の価格に戻ることをいう。窓開けの要因となった材料が一時的な注目を集めたに過ぎない場合はこのような動きとなる。
一方、窓開け後も需給バランスがどちらか一方に傾いたままで、窓埋めすることなくそのままトレンドが出る場合がある。これは価格水準が変わることを市場が求めているとも見ることができ、窓埋めを想定したエントリーをしている場合には損切りするなどの新たな判断をしなければならない。
埋めない窓はない
「埋めない窓はない」は、窓開け・窓埋めに関する相場格言。
実際のところ、長い目で見ればほとんどの窓は埋められるが、埋められることなく一方向に一直線というケースもある。窓埋めを利用したエントリーをする際には撤退ラインも決めておくべき。
窓埋めに関するデータ
SBI証券が日経平均を10年遡って窓埋め検証している。
- 10年のうち、約50%が窓開け状態で寄り付いている
- 窓開け後、当日中に窓埋めする確率は約45%
上窓の窓埋め⇒42%、下窓の窓埋め⇒49% - 5日後までに窓埋めする確率
上窓⇒約70%、下窓⇒約77% - 10日後までに窓埋めする確率
上窓⇒約76%、下窓⇒約84% - 30日後までに窓埋めする確率
上窓⇒約84%、下窓⇒約90%
SBI証券では「埋めない窓だらけ」と評しているが、1か月で9割近くが窓埋めしているのは悪くないのではないか。また、完全な窓埋めでなくとも、8割方戻った、9割方戻ったというケースもあるはず。基本的には窓埋めする方向で身構えるのが正解のような気がする。もっとも、窓埋めしない場合、損切するタイミングの判断はかなり難しいかもしれない。